さるかに合戦
あらまし
一緒に遊びに出たサルとカニ。道中、サルは柿の種を、カニはおむすびを拾います。サルはカニを言いくるめ、柿の種とおむすびを交換し、おいしそうに食べてしまいます。
カニは柿を一生懸命育てあげ、立派な柿の実がなりました。サルは、今度はカニの柿の実が欲しくなり、カニの代わりに木登りをして柿の実をとると騙し、自分だけおいしい実を食べます。カニには渋柿を放り投げて、甲羅をひどく打たれたカニは死んでしまいます。
カニの死がサルの仕業と知った子ガニは、栗、蜂、臼、牛糞に相談し、かたき討ちをすることに。サルの家に行き、見事な連携作戦でサルに仕返しをします。最後は子ガニが「親の敵(かたき)!」とサルの首をちょきん。
風船職人SHINOのコメント
ワガママ放題のずる賢いサル。どこかの国を思い起こしてしまうのは私だけでしょうか。悪さをすれば仕返しを受けるという因果応報のテーマは、かちかち山の、ウサギがタヌキに仕返しをするお話と良く似ています。
日本には、かたき討ちのお話が多いですね。おとぎ話は、その国の文化が色濃く反映されるものでしょうから、仇討ちが認められていた社会に、復讐劇が多いのは当然なのかもしれません。
お話の後半、子ガニと栗、蜂、臼、牛糞による仕返しの作戦が見事で、痛快なコメディのようです。このあたりが、このお話が長く続く人気のお話になっているポイントなのではないでしょうか。
作品づくりについて
タイトルのサルとカニの両方を作れるように、お話の前半の場面から題材を選びました。サルが柿の木の上からカニに渋柿を投げつけるシーンは動きもあるし、前半部分の代表的なシーンであるし。ということで、この場面をつくりました。
木は単純な形にしました。実際の柿の木の樹形とは全然似てませんが、リアルな樹形に捕われることなく、一般的な木の形、それもシンプルな形にしました。あくまでも作品のメインはサル、カニ、柿の実の3つの要素なので、木はこの3種類のフィギュアの台座としての役割です。
サルは細い風船を使って細かくシャープに作っているのに対し、カニは太い風船でできるだけ単純に丸っこい印象になるよう作っています。サルの目は小さく作り、カニの目は大きくしてかわいらしく作っています。ずる賢いサルと、純朴なカニという性格の違いを表現しています。
柿の実は、大きな風船の中に小さい風船を押し込んで、柿の実の形に似せています。
サルの体の色はラメが入った明るめの茶色ですが、この風船はシエナブラウンという色です。メーカーがこの色を絶版にしてしまい、もう販売されていません。今、私が抱えている在庫が無くなれば、他の色にしないといけません。しかし、私は絶版が決まったころに、かなりの量を買い込んで大切に保管しているので、当分はこの色で作ることができます。
ちなみに風船は、置いておくだけでも自然に劣化するので、在庫として何年も経つと劣化して薄くなってしまい、割れやすくなってしまいます。こうなると、ひねることができません。対策としては、冷蔵庫などの冷暗所に保管すれば劣化を防ぐことができます。こうすれば、かなりの年数が経っても普通に使えます。