ヘンゼルとグレーテル of バルーンアートで作るおとぎ話

ヘンゼルとグレーテル

きこりの夫婦に2人の子どもがいました。ヘンゼルとグレーテルの兄妹です。夫婦はとても貧しく、子どもたちを森へ捨てようと相談し、置き去りにして帰ってしまいました。ヘンゼルは自分たちが捨てられることに気付いていたので、家から森への道中、夫婦に気付かれないように小石を置いていきました。これを道しるべに家に帰ることができました。

夫婦は再び、ヘンゼルとグレーテルを森へ置き去りにします。小石を持っていなかったヘンゼルは、今度はパンを道しるべに、少しずつちぎりながら置いていきました。しかし、パンを鳥に食べられてしまい,2人は森の中、迷子になってしまいました。

迷っているうちに突然、小鳥が現れます。小鳥について行くと、なんと森の中にお菓子の家がありました。夢中になって食べていると、老婆が出てきました。二人を叱ること無く、家に招き入れ、2人においしい食事を与えました。しかし、実は老婆は人食い魔女でした。ヘンゼルを大きな鳥かごに入れ、おいしい食事をとらせて太らせようとします。グレーテルには料理を作る手伝いをさせました。

ヘンゼルがまるまる太るのを待っていた魔女でしたが、賢いヘンゼルはスープに入った鳥の骨を自分の手であるかのように見せました。「なかなか太らないねぇ」と魔女は騙されます。グレーテルも機転を利かせ、パンを焼くかまどの入り方がわからないと嘘をつき、魔女がかまどに入ったところを突き飛ばして、かまどのなかで魔女は焼け死んでしまいました。

お菓子の家には宝物がたくさんしまってあり、二人はこれを持ち帰って、夫婦と幸せに暮らしました。


コメント

メルヘンチックで可愛らしいお話と思っている方も多いようですが、このお話は、両親が子どもを森に捨てるところから物語が始まります。口減らしのお話なんです。

日本では、姥捨て山など老人を捨てるお話が広く伝わっています。そうした民間伝承をもとに書かれた楢山節考という小説は名作としてよく知られています。私は高校生の時に読書しましたが、なんだかやるせない気持ちになるとともに、現実の厳しさを感じたことを覚えています。しかし、このヘンゼルとグレーテルでは、子どもを捨ててしまうわけですから、かなりショッキングです。よっぽどひどい状況だと想像してしまいます。

残酷な始まり方をしますが、魔女に騙され、あやうく食べられそうになる二人が、ヘンゼルの知恵とグレーテルの機転で難を逃れるという、子どもたちのたくましさに心打たれるお話になっています。

この物語のハイライトは、なんといってもお菓子の家ですね。あまりにも魅力的なお菓子の家。お腹を空かせた子どもにとってお菓子は喉から手が出るほど欲しいし、森に迷って不安な子どもにとって家はとても安心できる。この2つが合体しているわけですから、お菓子の家は夢そのものです。

ところで、バルーンアートを仕事にしている私は、よく「夢のある仕事ですね」と言われます。風船自体が希望の象徴のような素材ですし、その風船を作品に昇華させているバルーンアートは夢のように感じられるんだと思います。

そんなバルーンアートでお菓子の家をつくると、両方とも同じようなイメージなので、いいんじゃないかなと思い、お菓子の家を題材に選び、作ってみました

作品づくり

ビスケットの壁、チョコレートの玄関、屋根と煙突もチョコレートです。屋根にはお砂糖の雪化粧がかかっています。ショートケーキも載っています。壁には星型のクッキーやドーナッツ。渦巻き模様のキャンディーや杖の形のキャンディ(キャンディケーン)もあります。たくさんのお菓子をデザインして、メルヘンチックな配色で表現してみました。

屋根の編み方、壁の編み方、玄関の編み方は全て違います。色はモカ色と肌色なので、色差(色のコントラスト)が小さいため、テクスチュアの違いによって、それぞれを引き立たせるようにデザインしました。お菓子が主役なので、家自体は少し地味になるようにしています。

キャンディケーンや渦巻き模様のキャンディの構造は、SHINOオリジナルのフレンチポップという編み方です。2004年から2005年のコンテストで発表した技法で、今では世界中のバルーンアーティストたちに普及しています。

そういえば、この技法に関して、私がパクリ呼ばわりされたことがありました。私が生み出したオリジナル技法ですが、他のバルーンアーティストによって紹介されたことがあるために、誤解されているようです。今では基本の技法の1つとして普及しているので、パクるとかパクられるといったこともありませんが、開発者が悪く言われるのは哀しいものです。

作品の大きさは、一番下の写真でだいたい感じがつかめると思います。作品展ではたくさんの作品数を確保する必要があるので、お菓子の家だけに時間をかけるわけにもいかず、このくらいの大きさにとどめました。機会があれば、この3倍くらいの大きさのものを作ってみたいです。


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