ハーメルンの笛吹き男 of バルーンアートで作るおとぎ話

ハーメルンの笛吹き男

ドイツにある町、ハーメルンで大量のネズミが発生し、町の人は食べ物や衣服をかじられ、困っていました。ある日、この町に奇妙な衣装の男がやってきました。男は金貨一袋と交換にネズミ退治を申し出ました。町の人はそんな大金では高すぎると思いながらも、ネズミ退治を頼みました。

男は笛を取り出し、おかしな曲を弾き始めました。すると不思議なことに、町中のネズミが集まってきました。男は笛を吹きながら川の方に歩いて行き、ネズミたちもついて行きました。川に着くと、ネズミは次々に、流れの速い川に飛び込んで、あっという間に流されてしまいました。

男が報酬を要求すると、町の人は「奇妙な格好をした男に大金など払えるか、もう用はない」と約束を破りました。男は町の外に出て行きました。その晩、町に笛の音が轟きました。町の子供たちが次々に集まり、楽しそうに踊りながら、町はずれに向かいました。笛吹き男は、たくさんの子供たちをさらって行き、近くの洞窟に入ると、子供たちは二度と帰ってくることはありませんでした。


コメント

このお話は、笛の音でネズミをたくさん集めてしまう不思議な魔法の力が、とてもワクワクしますが、そのあとの展開は、なんだか怖いですね。

町の人がなぜ、報酬を払わなかったのか。喉元過ぎれば熱さ忘れるということだけでなく、笛吹き男が奇妙な格好をしていて、不思議な力を操る者だったから、町の人は異端扱いをしました。

異端の者には、まともな態度で接する必要は無い。現実社会とはそういうものなのかもしれません。私もバルーンアーティストという仕事をしていて、色眼鏡で見られることが、時々あるような気もしますので、このあたりは考えさせられます。

笛吹き男は報酬を払わない町の人に報復するために、子供たちを連れ去ってしまった点にも強いメッセージを感じます。

子供といえば、未来、希望、可能性の象徴です。町の子供をさらっていくというエンディングは、町の未来、希望、可能性を奪い去っていったということです。社会にとって、それらが何より大切だと言っているように思えます。

このお話はグリム童話のひとつで、1284年6月26日に起こった、130人の町の子供たちが失踪してしまった事件が基になっているそうです。

作品づくり

ピエロのような、しかし陰のあるミステリアスな笛吹き男をイメージして、深くかぶった帽子、ものうげな目、陽気だが渋い感じの配色で表現しました。

陽気さを表現するのに赤、黄色、緑、白の4色の配色にしましたが、すべて、くすんだ色にしています。明るい色にすると、ミステリアスで陰のある感じは出ないというのと、私には中世のヨーロッパのイメージがくすんだ色のイメージがあるので、こうした配色にしました。笛は茶色の風船を二重にして深い色合いにしてあります。

笛吹き男にはたくさんの風船を使っているのに対し、ネズミは一本の風船をひねってつくる、バルーンアートの基本形の作品にしました。このネズミは、バルーンアート経験者であれば、誰でも作れる簡単な作品です。簡単ですが、究極の単純化がなされている、まさにバルーンアートの真髄ともいうべき作品です。

複雑な作品が作れるようになった今でも、基本を大切にしたいという思いがあり、あえてシンプルなネズミにしました。

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